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ビットコイン 2017年バブル後よりも「売られすぎ」【仮想通貨相場分析 by クラーケン・インテリジェンス】

クラーケン・インテリジェンスは、毎週、9個のチャートを更新して歴史的な相場の天井と現在地の距離感を定点観測している。

ネガティブなヘッドラインが集中して急落したビットコイン相場だが、ビットコインの「ストック・フロー分析」によると、2017年/2018年のバブル後よりも売られ過ぎの水準にある。

①イーサリアム対数回帰レインボー

イーサリアムの歴史的な価格推移を対数回帰で分析し、レジスタンスとサポートを測る指標。どの地点から測るかによってレジスタンスとサポートの水準は異なる。

(出典:Kraken Intelligence’s OTC Daily「イーサリアム対数回帰レインボー」)

例えば、もし2018年1月につけた過去最高値に沿った対数回帰の線(Band8)を辿ると、今回のサイクルの天井は1万6000ドル付近になることが分かる

執筆時点のイーサリアム価格は2618ドル。Band4(1678ドル)とBand5(2883ドル)の間にある。先週の急落時、Band4がサポートになった。もしBand5を突破できれば、第3四半期にかけて反発に期待できるかもしれない。

②ホドル・ウェーブ(少なくとも過去1年間移動しなかったビットコインの割合)

少なくとも過去1年間移動しなかったビットコインの供給量全体にする割合は54.4%で、急落後にもかかわらず先週とほぼ同じ水準だった。2020年9月に記録した現サイクルの頂点である63.4%から9ポイントのマイナスとなった。

 (出典:Kraken Intelligence’s OTC Daily「ホドル・ウェーブ」)

歴史的に、ビットコイン価格が上昇するに従い、ホドルウェーブが下がる傾向がある。

2013年、ビットコインのホドルウェーブが当時のサイクルの頂点である48.2%に到達した時、ビットコイン価格は20.4ドル。ビットコインが11月30日に当時の最高価格である1158ドルに到達した時にホドルウェーブは38.8%まで下がった。

当時のサイクルでは、価格が5580%上昇する一方でホドルウェーブは9.4ポイント下がったことになる。

③「ビットコイン強気相場 週間サポート」

ビットコインは、歴史的に20週指数平滑移動平均線(EMA)と21週移動平均線(SMA)がサポートとして機能してきた。ビットコイン価格は2つの平均線をサポートに反発して新たな上昇トレンドを作る傾向がある。もし価格が双方の移動平均線を下回る時、強気相場の終わりを示している可能性が高い。

 

(出典:Kraken Intelligence’s OTC Daily「ビットコイン強気相場 週間サポート」)

ビットコイン価格3万9250ドル時点で、20週EMAと21週SMAはそれぞれ4万5209ドル、4万8171ドルに位置している。

仮に20週EMAまで上昇すると15.2%のプラス、21週SMAまで上昇すると22.7%のプラスになる。

ビットコイン価格は2つの強気相場サポートを2週連続で下回っている。歴史が繰り返すとすれば、ビットコインが再び上昇相場に転じるためには、2つのサポートを確実に上回る必要があるだろう。④グーグル検索とビットコイン

現在のビットコインのグーグルトレンドスコアは63で、先月の52から若干低い水準で推移している。

(出典:Kraken Intelligence’s OTC Daily 「グーグル検索とビットコイン」)

このスコアは、世界の「Bitcoin」グーグル検索数を価格と比較して算出したもので、急上昇したら価格が高値に近いことを示唆している。

過去最高は2017年12月に記録した100だ。

⑤ビットコイン対数成長曲線

2011年1月からのビットコイン価格の推移において、レジスタンス(天井)とサポート(底)を繋げた成長曲線を引いた。赤い対数の線を超えたら「買われすぎ」、緑の対数の線を下回ったら「売られすぎ」と考えられる。

(出典:Kraken Intelligence’s OTC Daily「ビットコイン対数成長曲線」)

現在のビットコイン”買われ過ぎ”の水準は8万4114ドルから11万129ドルで、現在の価格と比較して114%〜181%の乖離がある。一方、ビットコイン”売られ過ぎ”の水準は1万7368ドルから2万2740ドルで現在の価格と比較して42〜56%の乖離がある。

ビットコインが今後も上記の成長カーブ通りに動くという保証はどこにもないが、この成長曲線はビットコイン市場が強気相場にいるのか、弱気相場にいるのかを知る上で参考になるだろう。

⑥ビットコインのMVRV Zスコア

ビットコインのMVRV Zスコア(Market Value to Realized Value)は、ビットコインの時価総額(価格×流通コイン数)と”実現”価値(コインが最後に動かされた時(2つの異なるアドレス間で移動した時)の価格を基に計算)からビットコインが売られすぎか買われすぎかを測る指標。7から11(ピンクのボックス)が「買われすぎ」を指し、0.9から−0.3(緑のボックス)が「売られすぎ」を指している。

ビットコインのMVRV Zスコアの公式は、(時価総額ー実現価値)/(時価総額の標準偏差)だ。

(出典:Kraken Intelligence’s OTC Daily「ビットコインのMVRV Zスコア 」)

ビットコインのMVRV Zスコアは、1.65。先週の2.65から37.7%低下し、2020年10月以降で最低の水準を記録した。当時ビットコインは1万1900ドル付近で取引をしていた。

現在ビットコインの時価総額は6560億ドルで実現価値は3700億ドルとなっている。

⑦ビットコインPi指数

ビットコインPi指数は、111日間移動平均線と350日間移動平均線×2 を使ってマーケットサイクルの天井を探る方法。歴史的に双方がクロスした時点がマーケットの天井となってきた。

 (出典:Kraken Intelligence’s OTC Daily「ビットコインPi指数 」)

以下は、過去の4回のクロスだ。

  • 2013年4月6日、ビットコインが229ドルの時に2つの平均線がクロスし、約3日後にサイクルの頂点に到達した。
  • 2013年12月4日、ビットコインが1130ドルの時に2つの平均線がクロスし、約5日後にサイクルの頂点に達した。
  • 2017年12月16日、ビットコインが1万9660ドルの時に平均線がクロスし、同日にサイクルの頂点に達した。
  • 2021年4月11日、史上4回目のクロスが発生。約3日後に過去最高となる6万5000ドルをつけた。

現在、111日間移動平均線は5万2455ドルで350日間移動平均線×2は5万5450ドルとなっている。

ビットコインPi指数は、クロスしたら必ず弱気相場に入ることを示すわけではない。

⑧ビットコインのSOPR

ビットコインのSOPR(Spent Output Profit Ratio)は、売却価格/購入価格の割合を示す。SOPRが1を上回ることは、保有者が利益を出せる状態であることを意味する。逆にSOPRが1を下回ることは、売却時に損失を出したくないためビットコインを売りに動く投資家が少なくなることを示している。

歴史的に強気相場においてSOPRが1に近づくか下回る時、強気派の勢いが増す傾向がある。

(出典:Kraken Intelligence’s OTC Daily「ビットコインのSOPR」)

2020年12月に直近の高値である1.21をつけて以降、SOPRの7日移動平均は下落トレンドにある。

現在は2020年3月以降で最低となる0.96で推移している。

1に急速に近づいていることから、 数日か数週間のうちにビットコインが反発する可能性がある。

⑨ストック・フロー分析

ビットコイン のストックフロー分析によると、ビットコインは売られすぎの水準にある。ストックフロー率からの乖離幅は0.35(1より下は売られすぎ)の水準にあり、先週の0.44から低下した。

前回、これほどの売られすぎ水準を記録したのは2017年7月だ。

 
(出典:Kraken Intelligence’s OTC Daily ストック・フロー分析)
ストック・フロー率は、ビットコインの総供給量(ストック)と新たな供給量(フロー)を基に算出される。高ければ高いほど、分析対象のコモディティの希少性が増すことを意味する。ストック・フロー率に ビットコイン 価格の推移を重ね合わせると、両者の動きがほぼ同じであることが分かる。
新たなビットコイン供給量が6.25BTCから3.125BTCまで半減する「半減期」まで1071日となった。
※本原稿は、Kraken IntelligenceのOTC Dailyの一部を翻訳・編集したものです。
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