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仮想通貨の初心者必見!取引所と販売所の違い

 

ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)を入手する方法の一つは、日本で暗号資産交換業のライセンスを持つ取引所(仮想通貨取引所)で日本円を払って仮想通貨を購入することです。大口取引を頻繁に行わない一般的な投資家には、「取引所」と「販売所」という2つ購入方法があります。

しかし、日本では、両者の違いがあまり理解されていないのが現状のようです。また日本の仮想通貨取引所全てが「取引所」と「販売所」サービスを提供しているわけではありません。このため、仮想通貨投資の初心者が両者の違いを認識せずに仮想通貨を購入したというケースをよく耳にします。

ビットコインを始め値動きが激しいのが特徴である仮想通貨ですが、「なぜ、私はその価格で仮想通貨を購入にしているのか?」を理解することは、「仮想通貨を自分が納得した価格で買う」ために重要でしょう。今回は、取引所モデルと販売所モデルの一般的な違いについて解説します。

取引所モデル

取引所について説明する前に、まずはマーケットについて考えてみましょう。

マーケットとは、買い手と売り手が集まって商品やサービスを交換する場所です。近所にあるファーマーズマーケット(農産物の直売所)では、買い手であるあなたが、売り手である農家や卸売業者と会って、お金と商品を交換します。このマーケットは、通りすがりの人であっても成功した農家であっても、それぞれの参加者が買い手か売り手かどちらかのみの役割を果たすため、一方向のマーケットと呼ばれます。

取引所もファーマーズマーケットと似ています。取引所は、ビットコインなど仮想通貨と法定通貨(日本円など)の交換、あるいは、ビットコインとイーサリアムなど仮想通貨同士の交換をしたい不特定多数の買い手と売り手の注文を絶えずマッチングさせます。ファーマーズマーケットは一方向のマーケットでしたが、仮想通貨取引所では買い手や売り手、もしくは両方として自由に参加することができます。

(クラーケン  ビットコイン/日本円の基本的な注文フォーム)

注文には成行と指値という2種類があります。

指値注文は、売買したい価格をユーザー自身が指定する注文方法です。成行注文は、売買価格を指定せず、以下で説明する取引板で表示される注文とすぐにマッチする注文です。

様々なユーザーによる注文が集まるのが取引板(Orderbook)です。以下は、クラーケンの取引板ですが、アスク(売値)が取引板の上半分にビッド(買値)が下半分に表れているのが分かります。取引板の表示方法は様々ですが、最も低いアスクと最も高いビッドが最も近い場所に来るようになっています。

(クラーケン ビットコイン/日本円の取引板)

最も低いアスクと最も高いビッドを隣に表示することで、買い手と売り手が合意する市場価格が何かを突き止めやすくします。

最も高いビッドはベストビッド、もしくはマーケットビッドと呼ばれ、最も低いアスクはベストアスク、もしくはマーケットアスクと呼ばれています。マーケットビッドは、ある時点で売ることができる最高価格であり、マーケットアスクは、ある時点で買うことができる最低価格となります。マーケットビッドやマーケットアスクの取引量を上回らない小規模な注文に関しては、買い手も売り手も注文を完了させることができます。

マーケットビッドとマーケットアスクの差は、ビッド・アスク・スプレッドと呼ばれます。ビッド・アスク・スプレッドは、一般的にはマーケットがどのくらい活発で効率的かを示します。もしビッド・アスク・スプレッドが「狭い」、もしくはゼロに近ければ、買い手と売り手が価格で合意間近でありトレードを実行しやすいことを意味します。

もしビッド・アスク・スプレッドが「広い」、もしくはかなり高いということであれば、買い手と売り手は価格の合意でかなり距離があり、ほとんどの参加者がその時点での取引に興味を持っていないことを意味します。

取引所モデルでは、ユーザーは取引板を見ながら注文を出し、他のユーザーが合意する価格(市場価格)で取引を成立させます。

取引所は奥が深く、どんな取引板が「良い」のかなど知っておくべき情報があります。詳しくは、クラーケンによる【仮想通貨マーケット特集】をご覧ください。

【仮想通貨マーケット特集】
第1章 マーケットと取引板
第2章 トレードとは?
第3章 あなたはどんなタイプのトレーダー?
4章 流動性とマーケットインパクト
第5章 よくあるマーケットの誤解
最終章:「悪いマーケット」の見つけ方


販売所モデル

仮想通貨取引所におけるもう一つの取引方法が「販売所」です。一般的に、取引所がプロ向けであるのに対して、販売所は初心者向けと言われています。

なぜでしょうか?

取引所と異なり、販売所で取引をする相手は、他のユーザーではなく、クラーケンなど仮想通貨取引所です。マーケットで売り手と買い手が取引価格の合意形成をするのではなく、取引所が自分たちが決める提示価格で直接販売します。仮想通貨の初心者にしてみれば、購入・売却価格が毎回1つだけ提示されて分かりやすいと考えられます。


(クラーケンの販売所モデル)

確かに一見すると使い勝手の良い販売所モデルですが、販売所の価格がどう決まっているのか?と気になる方がいるかもしれません。取引所方式では市場価格形成プロセスの透明性が担保されていましたが、販売所の提示価格がどのように決まるのか、プロセスが見えにくいですよね。

販売所では、売却価格より購入価格の方が高く設定されています。例えばビットコインの売却価格が500万円であるのに対してビットコインの購入価格が510万円であるとします。取引所は仮想通貨を安く買って(500万円で買って)高く売る(510万円で売る)ことで、その差額(スプレッド)を収入にしています。これ自体は、取引所ビジネスとしては普通のことです。

問題は、取引所が販売所モデルを使って手数料収入をどのくらい得ているか?でしょう。販売所における手数料の透明性は取引所を選ぶ上で重要な判断材料になると言えます。

取引所と販売所の比較

では、取引所モデルと販売所モデル、どちらがいいのでしょうか?答えは、ケースバイケースとなります。

すぐに注文を成立させたいのであれば、販売所に分があるでしょう。

取引所における取引相手は他の不特定多数のユーザーであり、指値注文の場合、取引相手が見つかるのに時間がかかる可能性があります。成行注文はすぐに成立する可能性が高いですが、取引板に表示されているどんな価格も受け入れるため、思わぬ価格で購入してしまうリスクがあります。

一方、自分の意思で仮想通貨を購入するという観点からは取引所モデルに分があります。ユーザーは、1つの価格情報だけでなく取引板にあふれるビッドとアスクというマーケット情報を見て判断し、成行・指値注文という選択肢を使い分けます。

また、販売所モデルにおける手数料収入の仕組みが不透明である仮想通貨取引所も存在しますので、知らない間に不当に高い値段で買わされてしまう可能性があります。

仮想通貨取引を始める上で、取引所と販売所の違いを理解して使い分けることが重要になるでしょう。