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ビットコイン長期保有者「売却完了」の気配 【クラーケン・インテリジェンス】

クラーケン・インテリジェンスは、毎週、10個のチャートを更新して歴史的なビットコイン相場の天井もしくは底と現在価格との距離を定点観測している。

チャートの一つである「ホドル・ウェーブ」によると、長期ビットコイン保有者が売却を完了させた兆候が出ている。また、「ビットコイン200週移動平均マルチプル」によると、上昇余地がかなりあることが分かる。

①イーサリアム対数回帰レインボー

イーサリアムの歴史的な価格推移を対数回帰で分析し、レジスタンスとサポートを測る指標。どの地点から測るかによってレジスタンスとサポートの水準は異なる。


(出典:Kraken Intelligence’s OTC Daily「イーサリアム対数回帰レインボー」)

例えば、2018年1月につけた過去最高値に沿った対数回帰の線(Band8)を辿ると、今回のサイクルの天井は1万7210ドル付近になることが分かる。

執筆時点のイーサリアム価格は2320ドル。Band4(1771ドル)とBand5(3041ドル)の間にある。イーサリアムは次のレジスタンスであるBand5を突破するには、31%上昇する必要がある。

②ホドル・ウェーブ(少なくとも過去1年間移動しなかったビットコインの割合)

少なくとも過去1年間移動しなかったビットコインの供給量全体に対する割合は54.23%だった。先週から横ばいであり、2020年9月に記録した現サイクルの頂点である63.4%から9.2ポイントのマイナスとなった。

6月18日土曜日、ホドル・ウェーブは18ヵ月ぶりの低水準となる54.1%を記録した。過去2週間のトレンドは横ばいとなっており、2013年と同じような展開になってきている。長期保有者はビットコインの売却を完了させた可能性がある。


(出典:Kraken Intelligence’s OTC Daily「ホドル・ウェーブ」)

歴史的に、ビットコイン価格とホドルウェーブは逆相関関係にある。

2013年、ビットコインのホドルウェーブが当時のサイクルの頂点である48.2%に到達した時、ビットコイン価格は20.4ドル。ビットコインが11月30日に当時の最高価格である1158ドルに到達した時にホドルウェーブは38.8%まで下がった。

当時のサイクルでは、価格が5580%上昇する一方でホドルウェーブは9.4ポイント下がったことになる。

③ビットコイン200週移動平均マルチプル

ビットコイン200週移動平均は、過去200週間におけるビットコインの平均価格を示したもので、長期トレンドを見極める上で使われる重要なサポート水準を指す。

ビットコイン平均マルチプル(倍数)とは、ビットコインが200週移動平均からどのくらいの倍数で推移しているかを示す。例えば、4倍ならビットコイン200週移動平均から4倍の水準でトレードしていることを意味する。


(出典:Kraken Intelligence’s OTC Daily 「ビットコイン200週移動平均マルチプル」)

現在、ビットコイン200週移動平均マルチプルは2.49倍と先週から低下し、5ヵ月ぶりの低水準となっている。歴史的に、上昇余地がかなりある状態を示している。

昨年末からの強気相場においてビットコイン200週移動平均マルチプルは2021年4月に4.25倍をつけた後で下落した。

以前の強気相場では、弱気相場に入る前に、ビットコイン200週移動平均マルチプルは10倍〜15倍まで上昇した。

現在のビットコイン200週移動平均は1万3695ドル。ビットコイン200週移動平均マルチプルが10倍〜15倍まで上昇する場合、ビットコイン価格は 13万6950ドル〜20万5425ドルまで上がることになる。

④「ビットコイン強気相場 週間サポート」

ビットコインは、歴史的に20週指数平滑移動平均線(EMA)と21週移動平均線(SMA)がサポートとして機能してきた。ビットコイン価格は2つの平均線をサポートに反発して新たな上昇トレンドを作る傾向がある。もし価格が双方の移動平均線を下回る時、強気相場の終わりを示している可能性が高い。


(出典:Kraken Intelligence’s OTC Daily「ビットコイン強気相場 週間サポート」)

ビットコイン価格3万4071ドル時点で、20週EMAと21週SMAはそれぞれ4万670ドル、4万7410ドルに位置している。

仮に20週EMAまで上昇すると19.4%のプラス、21週SMAまで上昇すると39.2%のプラスになる。

ビットコインは2020年4月以来、9週連続で2つのサポートを同時に下回っている。従来、2つのサポートを下回ることは強気相場の終えんと考えられてきた。

しかし、全ての強気相場が同じように動くわけではない。例えば2013年、ビットコインは2ヵ月近くサポートを下回って推移した後、上昇相場を再開した。

⑤ビットコイン対数成長曲線

2011年1月からのビットコイン価格の推移において、レジスタンス(天井)とサポート(底)を繋げた成長曲線を引いた。赤い対数の線を超えたら「買われすぎ」、緑の対数の線を下回ったら「売られすぎ」と考えられる。


(出典:Kraken Intelligence’s OTC Daily「ビットコイン対数成長曲線」)

現在のビットコイン”買われ過ぎ”の水準は8万9982ドルから11万7333ドルで、現在の価格と比較して164%〜244%の乖離がある。

一方、ビットコイン”売られ過ぎ”の水準は1万9027ドルから2万4811ドルで現在の価格と比較して27〜44%の乖離がある。

ビットコインが今後も上記の成長カーブ通りに動くという保証はどこにもないが、この成長曲線はビットコイン市場が強気相場にいるのか、弱気相場にいるのかを知る上で参考になるだろう。

⑥ビットコインの月間ボリンジャーバンド(上位)とRSI

ボリンジャーバンドは、ボラティリティの大きさから「買われすぎ」か「売られすぎ」の水準を測る指標として使われる。上位のバンドを超えれば「買われすぎ」、そうでなければ「売られすぎ」と考えられる。一般的に20日間移動平均から標準偏差±2が上位と下位のバンドを示すが、我々は20ヵ月間移動平均から標準偏差+4.5を上位バンドとして捉える。

RSI(相対力指数)は、相場の勢い(Momentum)を図る指標として有名だ。30を下回れば「売られすぎ」を示し、70を超えれば「買われすぎ」を示す。我々は歴史的な関連性の高さから、14ヵ月RSIに注目する。


(出典:Kraken Intelligence’s OTC Daily「ビットコインの月間ボリンジャーバンド(上位)とRSI」)

ビットコインの今月の最高値は3万5960。月間上位ボリンジャーバンドがある9万8144ドルから6万2184ドルも下にあることが分かる。

14ヵ月RSIは59.1で「ニュートラル」の領域にある。1年ぶりの低水準だ。2013年には「ニュートラル」まで下がった後、上昇トレンドが再開した。

過去に月間上位ボリンジャーバンドをビットコイン価格が上回ったことは、2013年4月、2013年11月、2017年11月の3回しかない。それぞれの時点で、14ヵ月RSIも100に迫る水準まで上昇した。

⑦ビットコインのMVRV Zスコア

ビットコインのMVRV Zスコア(Market Value to Realized Value)は、ビットコインの時価総額(価格×流通コイン数)と”実現”価値(コインが最後に動かされた時(2つの異なるアドレス間で移動した時)の価格を基に計算)からビットコインが売られすぎか買われすぎかを測る指標。7から11(ピンクのボックス)が「買われすぎ」を指し、0.9から−0.3(緑のボックス)が「売られすぎ」を指している。

ビットコインのMVRV Zスコアの公式は、(時価総額ー実現価値)/(時価総額の標準偏差)だ。

(出典:Kraken Intelligence’s OTC Daily「ビットコインのMVRV Zスコア 」)

ビットコインのMVRV Zスコアは1.55。先週の1.76から11.9%下落した。

現在ビットコインの時価総額は6390億ドルで実現価値は3620億ドルとなっている。

⑧ビットコインPi指数

ビットコインPi指数は、111日間移動平均線と350日間移動平均線×2 を使ってマーケットサイクルの天井を探る方法。歴史的に111日間移動平均線(水色)が350日間移動平均線×2(赤)上回る形でクロスした時点がマーケットの天井となってきた。

(出典:Kraken Intelligence’s OTC Daily「ビットコインPi指数 」)

以下は、過去の4回のクロスだ。

  • 2013年4月6日、ビットコインが229ドルの時に2つの平均線がクロスし、約3日後にサイクルの頂点に到達した。
  • 2013年12月4日、ビットコインが1130ドルの時に2つの平均線がクロスし、約5日後にサイクルの頂点に達した。
  • 2017年12月16日、ビットコインが1万9660ドルの時に平均線がクロスし、同日にサイクルの頂点に達した。
  • 2021年4月11日、史上4回目のクロスが発生。約3日後に過去最高となる6万5000ドルをつけた。

現在、111日間移動平均線は4万7013ドルで350日間移動平均線×2は6万1961ドルとなっている。

ビットコインPi指数は、クロスしたら必ず弱気相場に入ることを示すわけではない。

⑨ビットコインのSOPR
ビットコインのSOPR(Spent Output Profit Ratio)は、売却価格/購入価格の割合を示す。

SOPRが1を上回ることは、保有者が利益を出せる状態であることを意味する。逆にSOPRが1を下回ることは、売却時に損失を出さないようにビットコインを売りに動く投資家が少なくなることを示している。

歴史的に強気相場においてSOPRが1に近づくか下回る時、強気派の勢いが増す傾向がある。

(出典:Kraken Intelligence’s OTC Daily「ビットコインのSOPR」)

2020年12月に直近の高値である1.21をつけて以降、SOPRの7日移動平均は下落トレンドにある。

現在は0.988で推移している。1を超えられない現状は、ほとんどの市場参加者が売却時に損失を出すことを意味している。

このため、 数日か数週間のうちにビットコインが上昇可能性がある。

⑩ストック・フロー分析

ビットコインのストックフロー分析によると、ビットコインは売られすぎの水準にある。ストックフロー率からの乖離幅は0.31(1より下は売られすぎ)の水準にあり、先週の0.33からわずかに低下した。歴史的に低い水準であり、ビットコインが売られすぎの状況が継続している。


(出典:Kraken Intelligence’s OTC Daily ストック・フロー分析)

ストック・フロー率は、ビットコインの総供給量(ストック)と新たな供給量(フロー)を基に算出される。
高ければ高いほど、分析対象のコモディティの希少性が増すことを意味する。
ストック・フロー率に ビットコイン 価格の推移を重ね合わせると、両者の動きがほぼ同じであることが分かる。
新たなビットコイン供給量が6.25BTCから3.125BTCまで半減する「半減期」まで1028日となった。

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